2016年2月13日(水)、公益財団法人松下政経塾との共催により「ユニバーサル農業フォーラム2016」を、名古屋国際ホテル(名古屋市中区)にて開 催しました。当研究会の発足を兼ねたフォーラムとなり、当日は200名を超える方にご来場いただき、当初の予定を大幅に超えた大盛会となりました。
第1部の基調講演「農業とわたしたち~みんなで創る食の未来~」では、日本農政の第一線でご活躍中の名古屋大学大学院生命農学研究科の生源寺眞一教授から、農業の現状と課題を分かりやすく解説いただきました。
経営の厚みを増すことや情報の発信力などこれからの農業に求められることに加えて、雇用力、共同空間など農業が社会全般(わたしたち)にもたらす価値について言及されました。
近未来の農業経営は、食料を生産する人類の根源的な営みと21世紀の先進国ならではの先端技術のハイブリッドであるとという、未来につながるご提言をいただきました。
続いて「日本農業の価値創造を目指して ~未来に実りを繋いでいくために~」と題して、松下政経塾33期生(当時)であり、当研究会で事務局を務める林俊輔より、研修報告を行いました。
4年間の松下政経塾での研修の中で、国内外を周り、考え、実践しつつ感じた日本農業の価値創造に向けた視点・論点として4つの「しょく」を挙げ整理しました。
「職」経営の視点:職業としての農業の生成発展
「食」農産物の価値の視点:消費者の認める価値創出
「色」独自性・地域性の視点:気候・風土・文化など地域特性と位置づけ
「植」環境・社会の視点:農業の多面的価値と持続可能性
これらの視点・論点を包含し、新たに農業の価値を創造していくための仮説として、「ユニバーサル農業」という概念の提案を行いました。
「ユニバーサル農業」とは、障がい者や高齢者、女性などありとあらゆる誰もが、分け隔てなく、様々な形で農業とそこから創出される食と関わることで、人間が持つ可能性を高めていき、お互いの長所を認め合い、支えあえるよりよい社会づくりを目指しているものです。
第2部では、冒頭にアジアユニバーサル農業研究会の発足に際し、目的や趣旨などについて、発起人代表であり、当会事務局長を務める株式会社マザーズ・アイ会長の源平春彦氏より会場の皆さまにご説明をいたしました。
アジアユニバーサル農業研究会の趣旨説明終了後は、「みんなで考えよう!食と農の未来」と題し、パネルディスカッションを行いました。
左から熊崎巖氏、高草志郎氏、丹羽真清氏、松永安正氏
愛知県南知多において、60年に亘り有機農業に携わる土づくりの名人、熊崎巖氏(農業生産法人光輪相談役)、浜松市で大手ITベンダーの特例子会社として、農副連携の先進モデルを実践する、高草志郎氏(株式会社ひなり代表取締役社長:当時)、食品分析の第一人者である、丹羽真清氏(デリカフーズ株式会社代表取締役社長/デザイナーフーズ株式会社代表取締役社長)、名古屋を中心とした高級スーパーフランテの仕掛人として食の価値伝達のプロフェッショナル、松永安正氏(株式会社ヤマナカ常務取締役/店舗運営部長兼フランテ運営部長)と4名の各界を代表する有識者・実践者の皆さまにご登壇いただきました。
4人のパネリストとともに、アジアユニバーサル農業研究会事務局(源平・林)がコーディネーターを務め、さまざまな立場から「食と農の未来」について議論を進めました。
食べ物を作る環境はどうあるべきか、そしてそこから生まれる食はどうあるべきか、更に農業と食が我々人間にとっていかに重要な役割を果たしているか、まさに多種多様な方々の関わり合いの中で、普遍的で持続可能な農と食を目指すために、これからどうしていくべきなのか、考えるきっかけづくりの場となりました。
第3部では、名古屋で健康な食事づくりで大人気「マザーズ・ランチ」による全国の生産者からお取り寄せした野菜を使ったお食事をご用意して、ご来場いただいた皆様とのご縁に感謝しながら、いただきました。まさに笑顔が繋がり、幸せを共有した空間でした。
ご来場いただきました皆様、講師・パネリストの皆様、また開催にあたり様々な形でご支援くださった皆様に対し、心より御礼を申し上げます。
2016年2月13日(土) アジアユニバーサル農業研究会 事務局